「Wi-Fi 6」とは?-「速い」!「強い」!「長持ち」!
更新日時 : 2024-11-11 16:22
Wi-Fiってご存知ですか?読み方を「ウィーフィー」や「ウィッフィー」とまるでミッフィーのように読んでしまうかたもいらっしゃいますが、「ワイファイ」です。それくらい読めるよ~、というかたがほとんとだと思います。ところで「Wi-Fi 6」ってご存知ですか?
Wi-Fiの最新規格「Wi-Fi 6」が、ネット関連機器ではトレンドワードになりつつあります。そうはいっても、「ワイファイ・シックス? 何それ?」という方も少なくないのでは。
ここでは、「そもそもWi-Fi 6とは?」「Wi-Fi 6はいつから始まるの?」といった素朴な疑問にお答えしていきましょう。
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Wi-Fi規格「IEEE 802.11○」をわかりやすくした「Wi-Fi○」
「Wi-Fi 6」というワードに聞き覚えがない方も、「IEEE 802.11」であれば目にしたことがある人もいるのでは。こちらはWi-Fiルーターなどに記載されていますが、Wi-Fi規格名です。読み方は、「アイイーイーイー」ではなく、「アイトリプルイー」と読みます。
Wi-Fiより“無線LAN”と称されることが多かった時代の「IEEE 802.11a」や「IEEE 802.11b」から始まった、Wi-Fi規格の名称で、周波数の帯域や特徴の違いから規格と周波数帯が決められています。「11」後にあるアルファベットにより、最大通信速度などが変わります。
改めて、これまでのWi-Fi規格を振り返ってみると…。
規格 | 最大通信速度 (※理論値) |
IEEE 802.11a | 54Mbps |
IEEE 802.11b | 11Mbps |
IEEE 802.11g | 54Mbps |
IEEE 802.11n | 600Mbps |
IEEE 802.11ac | 6.9Gbps |
IEEE 802.11ax | 9.6Gbps |
こうして見ると、「IEEE 802.11n」~「IEEE 802.11ac」の段階で、通信速度が劇的に上昇したこともわかります。
一方、末尾のアルファベットがa、bからgへ飛び、さらにn、ac…と不規則なことにもお気づきでしょう。アルファベットが進むほど高速なわけでもなく、最新・最速のWi-Fi規格は何なのか、詳しい人でなければ即答は難しいことも。
こうした“わかりにくさ”を是正するため、2018年に新たな名称が制定されました。それが「Wi-Fi○」で、○の部分には数字が入ります。先ほどの規格を置き換えると、
IEEE802.11n→Wi-Fi 4
IEEE802.11ac→Wi-Fi 5
IEEE802.11ax→Wi-Fi 6
となります。“4番目の規格”という意味で、「IEEE 802.11n」相当「Wi-Fi 4」(正式名称:Wi-Fi CERTIFIED 4)が最初の名称となりました。
規格 | 規格 | 名称有無 |
IEEE 802.11a | Wi-Fi1 | 欠番 |
IEEE 802.11b | Wi-Fi2 | 欠番 |
IEEE 802.11g | Wi-Fi3 | 欠番 |
IEEE 802.11n | Wi-Fi4 | ○ |
IEEE 802.11ac | Wi-Fi5 | ○ |
IEEE 802.11ax | Wi-Fi6 | ○ |
ちなみに、Wi-Fi 4の正式名称は「Wi-Fi CERTIFIED 4」(ワイファイ サーティファイド)といい、Wi-Fi CERTIFIEDは規格の基準を満たしていると与えられる認証ロゴです。
現在のWi-Fi機器の主流規格「IEEE 802.11ac」は、「Wi-Fi 5」となります。店頭に並ぶ通信機器の外箱にも、「IEEE 802.11ac」「Wi-Fi 5」という2つの名称が記載されているはずです。
(※「Wi-Fi○」の製品認証は2019年からなので、2018年以前発売の製品には「Wi-Fi○」記載がありません)。
Wi-Fi 1、Wi-Fi 2、Wi-Fi 3…どうしてないの?
Wi-Fiというのが、インターネットの最大通信速度に関係するものであることは分かりましたが、Wi-Fiは「4」から始まり、Wi-Fi 1、Wi-Fi 2、Wi-Fi 3という規格はありません。
もちろんWi-Fi 6は“6世代目”を意味しますが、ナンバリングが4からスタートしているのは、Wi-Fiの名称が決められたときには、もう1~3に相当する規格の機器がほぼないことが理由とされています。
また、末尾にアルファベットが付く前の「IEEE 802.11」という規格については、Wi-Fiの名前が使われるようになった頃には運用が終了していたため、“Wi-Fi 1”ではありません。
上記のIEEEとWi-Fiの対応を見てもらうとわかりますが、Wi-Fiで呼ばれるようになったのはn以降。そのため、それ以前の規格を言い換える必要はないと考えられたのかもしれないですね。
Wi-Fi 6は「速い」!情報処理スピードが大幅アップ!
Photo by Ashkan Forouzani on Unsplash
では、Wi-Fi 6になることで何が変わるのでしょうか。主な特徴をまとめてみます。
・最大通信速度がWi-Fi 5の1.4倍に
・2.4GHzと5GHz帯を組み合わせた安定・高速通信を実現
・同時接続できる端末台数がWi-Fi 5の2倍、8台に
最大通信速度に関しては、「9.6Gbps」という数値だけを見ると、劇的に高速化した「Wi-Fi 5」と比べ、控えめな進化に感じられるかもしれません。ところが、実際に通信を行ったときの間あたりのデータ転送量(※実行スループット)に関しては、Wi-Fi 6は1Gbpsも夢ではなく、「Wi-Fi 6」の実効速度は「Wi-Fi 5」比で4~10倍ともいわれます。
こうした性能アップは、体感速度の向上という、わかりやすい形でも表れます。スマホで動画を見る機会も多い今、例えばアクセスが集中しやすい都市部ではWi-Fiパフォーマンスが落ちてしまうケースもありました。
Wi-Fi 6なら、こうした状況でも余裕があり、情報を処理するスピードが速くなることで、今まで以上に容量の大きいデータもスムーズかつスピーディーにできるようになります。より快適さを得られるのはうれしいですね。
Wi-Fi 6は断線に「強い」!通信の安定性も上がる!
さらに実際の利用シーンで役立ちそうなWi-Fi 6のメリットとして挙げられるのが、周波数帯2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応し、回線処理が可能な点です。この2.4GHzと5GHzというのは、Wi-Fiの電波が伝わっていく通路のようなもので、それぞれ特性が異なります。
2.4GHzの特徴
・電波が遠方まで届きやすい
・壁や床などの障害物に強く、隣の部屋や階上の部屋にも電波が届く
・電子レンジやIHクッキングヒーターといった機器も利用するため、互いの機器が近くにあると干渉し合って弱まり、通信の速度低下が起きることも
5GHzの特徴
・Wi-Fi専用の電波なので、ほかの家電の電波の影響を受けず、安定的に通信を行える
・障害物に弱い
2.4GHz | 5GHz | |
メリット | 壁や天井などの障害物があっても遠くまで電波が届きやすい | 電子レンジやBluetoothなどの電波干渉を受けにくく安定していて、通信速度も速い |
デメリット | 電波の干渉は受けやすく、速度も遅め | 障害物には弱いため、壁や家具などで電波が届かなくなることがある |
つまり、速度重視なら5GHzの周波数の方が有利と言えますが、電波が遠くまで届きにくく障害物に弱いため、なるべく近くで使うなどの工夫が必要となります。
そんなデメリットを差し引いても、5GHz帯にしか対応していなかったWi-Fi 5に比べ、大きなアドバンテージ(優位性)となるはずです。
混雑した状況でも速度低下しにくいのが「Wi-Fi 6」のいいところ!
Samuel1983によるPixabayからの画像
また、Wi-Fi6は同時に複数の機器がWi-Fiに接続しても、スムーズで高速な通信を実現することを目指して開発されています。
同時に接続可能な台数が増えることにより、Wi-Fi 6では処理速度の低下が起きにくくなり、通信でストレスを感じにくくなると言われています。
たとえば空港や駅、スタジアム、カフェなど、混雑しやすい公共Wi-Fiスポットでは「速度が遅すぎて使えない」といった事態に遭いやすいですが、Wi-Fi 6ならそんな心配がなくなり、過去の話となるかもしれません。
少し詳しく説明しておくと、これに一役買っているのが、「OFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)」(オーエフディーエム)と、「MU-MIMO(Multi User Multiple-Input and Multiple-Output)」(マルチユーザーマイモ)と呼ばれる技術です。
OFDMAは、1チャンネルの帯域幅を複数人で分け合うことにより多くのデータを効率よく通信できるようにする技術です。タクシーを相乗りするというイメージを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。
また、Wi-Fi 4では送受信が1対1でしか行えなかったため(※「SU-MIMO(シングルユーザーマイモ)」)、Wi-Fiに接続する端末が増えると通信速度が遅くなっていましたが、MU-MIMOにより複数の機器が同時に通信できるように。
その結果、混み合った通信環境であっても影響を受けにくく、通信速度が遅くなったりつながりにくくなったり……といった問題の解消につながります。
Wi-Fi 6は「長持ち」!省エネにも優れたバッテリー持ちへの強い味方!
出先でのモバイル利用を考えると、「TWT」(ターゲットウェイクタイム)機能の追加も大きな味方に。
「TWT」とは通信タイミングをコントロールする機能のことで、端末のデータ送信の間隔を調整して、端末の待機時間(スリープ)を増やします。
結果的に、Wi-Fi機器のバッテリー持続時間を伸ばしてくれることになります。モバイル時代の省エネという側面からもWi-Fi 6は注目されているのです。
Wi-Fi6に対応しているiPhoneは?
Wi-Fi6に対応しているのはiPhone11以降の機種です。iPhone 11とiPhone 11 ProとiPhone 11 Pro MAXが対応しています。
iPhoneXやXS、XRは対応していません。iPhone XSやiPhone XS MAXは、acには対応していますが、Wi-Fi5まで対応となります。
「5G」がスタートする2020年は“Wi-Fi 6 元年”でも
期待が高まるWi-Fi 6ですが、各メーカーによるWi-Fi 6対応チップセットの本格採用は、2020年からと言われています。
というのもWi-Fi 6の普及には、2020年から本格的に導入される次世代移動通信システム「5G」が大きく関係してくるからです。
「5G」は「第5世代移動通信システム」と呼ばれる、スマホなどの通信に用いられる次世代通信規格のこと。主な特徴として、「高速・大容量の通信」「通信の遅延性の低下」「多数接続の実現」という3つが挙げられ、従来よりも高速なモバイル通信環境の構築を実現してくれます。
IoTの普及やAIによる通信環境整備が進む中、安定した高速Wi-Fi通信環境は必須条件に。となれば、5G普及とともに、無線通信環境のWi-Fi 6化が急速に進むと考えられているのです。
そんなWi-Fi 6の恩恵を最大限に受けるためには、端末とWi-FiルーターがともにWi-Fi 6で接続される必要があります。既に2019年の時点でもWi-Fi 6対応と明記されたWi-Fiルーターが発売されています。
関連記事はこちら
おすすめWi-Fi 6対応無線LANルーター
たとえば「BUFFALO WXR-5950AX12」。Wi-Fi 5対応の従来モデルに比べて最大通信速度は約3.7Gbpsと約3.1倍に。もちろん、あくまで最大値ですので、スマホやノートPCでは通信環境の影響などから同じスピードは出ませんが、大幅なスピードアップに期待できます。
また「デュアルスタックダイポールアンテナ」と呼ばれる3つの回転軸を内蔵したアンテナを搭載。設置環境に応じてアンテナの配置を自由に変えることができ、スマホやパソコン、タブレットなどがある方向にアンテナを向けることで、Wi-Fiの電波強度を上げることが可能です。
さらに「10Gbps回線」サービス、4K・8K映像の動画配信、家電の外出先から操作など、 高速なインターネット通信が欠かせないサービスを利用できるのも大きな魅力です。後々のことを考えると、今からWi-Fi 6対応のルーター購入を検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、Wi-Fi 6に変わったからといって、すぐに機器を全て買い替える必要はありません。Wi-Fi規格には古い通信規格も利用できる“下位互換”という原則があり、Wi-Fi 5以前の機器が利用できなくなることはありません。必要に応じて、通信関連機器をアップグレードさせていきましょう。
※記事内容は2020年1月現在の情報を基に作成。
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